●燃料転換効果
省エネルギー率 | 9.7% |
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CO2排出削減量 | 200t-CO2/年 |
原油換算燃料削減量 | 23.1kl |
※数字は全て補助金申請時見込み
今回訪問したのは、東北地方にあって人と自然を大切にし、醸造発酵の技術で伝統の心と技を未来へとつなぐ、手づくりの日本酒の蔵元「株式会社一ノ蔵」である。日本酒好きの方にはもちろんのこと、日本人なら一度は耳にしたことがあるかと思われる名高い酒蔵である。仙台から東北本線で45分ほど北上すると、良質な地下水が流れ豊かな自然に恵まれた同社の本社蔵のある宮城県大崎市の松山町駅に辿り着く。日本酒はアルコール分以外のおおよそ8割は水で出来ており、水によってお酒の味が大きく左右されるため、酒造りは水が命。それ故、例えば、新しく井戸を掘り、良質な水が汲みだせたとしても一ノ蔵の味でなくなってしまう。そこに、製造担当と設備担当のせめぎ合い・困難でやりがいのある仕事があると、一ノ蔵で営繕エネルギーを担当するの山岸氏は言う。ボイラについても蒸気でさらに純水をリボイラして、米を蒸す時に使用している。
工場見学(山岸さんの解説)
蒸米(むしまい)
同社は、従来から環境問題に対する意識が高く、「できることからこつこつと、はじめのいっぽ」をテーマに、持続可能な環境活動を実施しており、洗浄して何度も繰り返し使用できるR瓶(リターナル瓶・リユース瓶)の積極採用やマイ箸運動の実践、本社蔵前の県道清掃など実施している。実際に、各種取組みが評価され仙台市泉区に本社がある一ノ蔵酒類販売株式会社は、仙台市より環境配慮型事務所「エコにこオフィス」に認定されるなど、社会的にも多くの共感を得られている。そのような中、A重油のボイラを環境に優しいLPガスボイラに変更することを従来から計画しており、同社の施設規模を勘案すると多額の投資金額が必要となるためタイミングを図っていたところ、ボイラ制御部分に故障が生じたため、LPガスボイラの購入に踏み切った。
一ノ蔵の醸造工程では、主に、米を蒸す時にエネルギーを利用する他、ビン詰や貯蔵時に熱を加えて低温殺菌しお酒を安定させるために蒸気熱を使用する。さらに、高級酒やヒット商品の発泡酒「すず音」などは、瓶詰したまま、外からお湯をかけて低温殺菌して中の微生物の活動を止めるなど非常に高度な醸造技術を用いており、エネルギーもより多く使用される。さて、今回の設備投資は、三浦工業製LPGボイラ2.5t/hを3台購入、当時の日本LPガス団体協議会のエネルギー使用合理化補助金は新規設備機器費のみならず設置工事費、供給・配管設備費などを含めての補助率1/3であったため、助成効果も結果的に相当に大きかったという。補助金導入のスケジュールにあわせて、古いボイラを動かしながら新しいボイラに交換しなければならないため導入にあたっては、ガス会社のアストモスリテイリング社にはお世話になったとのことである。補助金申請時の試算の結果、燃料転換の効果は、CO2排出削減量200t-CO2/年、省エネルギー率は9.7%を見込まれることとなった。また、3t/hの炉筒円管式2台から2t/hの小型貫流式ボイラ3台なったため、運転者の資格の問題がなくなり、現在は10人以上の従業員が運転可能となり、ローテーションが組みやすくなった。
2.9tバルクタンク
LPガスボイラ2.5t/h×3台
多くの日本酒ファンを獲得している一ノ蔵であるが、「食」に対する不信感が高まりつつある時代の中で、飲み物のおいしさの基本に安全と安心があるとの認識のもと「良い食品づくりの会」に加入し、清酒の品質基準に則った商品開発を進めている。また、一ノ蔵の原料米は、年間3万俵ほど、95%以上は地元の米を使用している。同社はこれまでも、環境保全型農業により環境や農地を守るNPO法人「環境保全米ネットワーク」を支援し、地元社会との共生・農業の活性化を目指してきたが、平成16年からは、地元の協力体制のもと「一ノ蔵農社」を創設し、一ノ蔵自らが米作りに取り組み原料への研究研鑽など、様々な取り組みを行っている。アルコール離れが進んでいる現状の中で、経験に裏打ちされた手づくりで醸造し、また、工場見学などはオープンに、全国のお酒を楽しむ会などには役員達が直接出向きお客様一人一人と蔵の話をするなど、地道ではあるが視野高く地に足の着いた活動をしつつ、本当に美味しいものを提供しているのが蔵元「一ノ蔵」なのであろう。
会社の概要 |
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株式会社一ノ蔵 宮城県大崎市松山千石字欅14番地 代表者 : 鈴木整 設立年月日 : 昭和48年1月 資本金 : 1億5000万円 従業員数 : 約160名(関連会社含む) URL : https://www.ichinokura.co.jp/ |
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