灯油ボイラーを高効率ガス給湯器に

灯油ボイラーを高効率ガス給湯器に―災害時のガスの有効性を痛感―

医療法人敬英会(光山誠理事長)が運営する「グリーンガーデン橋本」は、要介護の高齢者を中心に100名が入所、40名が利用する介護老人保健施設である。介護・リハビリテーションなど、地域に根差し人との触れあいを大切にしたサービスを提供している。昨年、国からの補助金を活用してそれまで使っていた灯油ボイラーから高効率ガス給湯器(エコジョーズ)に設備を更新した。

震災以降、節電意識高まる

平成10年に開所したこの施設では、LPガスで取引のあるガスワークオカゲ(大阪府堺市)からの提案もあり、6、7年前から共用部分でGHP(ガス・ヒートポンプ)空調を使用していた。事務長を務める北谷善寛さんは「昨年の東日本大震災以降、節電への意識が高まり、災害時の熱源としてガスの有効性を感じた」という。今回、LPガスへの燃料転換で国からの補助金を利用できるという話をガス会社から聞き、灯油ボイラー設備の更新を決めた。「以前、灯油を使っていたが、価格の面でも灯油や重油に比べて、LPガスは比較的安定した価格で提供していただいていた」(北谷さん)ことも後押しした。

北谷 善寛 事務長

北谷 善寛 事務長

省スペース、資格者不要の利点

ボイラーと同等能力の50号エコジョーズ(リンナイ製)5台を、GHP室外機が置いてある屋上に設置。施設横にあるLPガスバルク貯槽(3t、1t)からガスを供給する。今回のLPガスへの燃料転換で、ボイラーと比べてかなりの省スペース化が図れ、燃料に対する職員の意識啓発にもつながった。また、ボイラーのときに必要だった危険物取扱資格者も不要になり、人材面での負担も軽減されたこともメリットになった。

高効率ガス給湯器エコジョーズ50号

高効率ガス給湯器エコジョーズ50号

LPガスで防災対策

「グリーンガーデン橋本」は閑静な立地にある反面、アクセスする道路は一本道のため、災害時に寸断されると「陸の孤島」になってしまうことも考えられる。多くの高齢者が入所する施設としては、そうしたリスクを想定した対応も重要になってくる。そのため災害時・緊急時の連絡体制づくり、燃料確保ルートを検討中だ。現在設置されているLPガスバルク貯槽も今後、災害対応型にしていく方針だ。

電力デマンド、節電対策に有効なガス機器

今では灯油や重油の使用は止め、施設のエネルギーは電気とLPガスでまかなっており、厨房・給湯・冷暖房にLPガスを使用している。

共用部分の空調に利用しているGHPは、20馬力(サンヨー製)を8台導入。小型発電機を搭載したハイパワーマルチ機で、同規模EHP(電気式ヒートピンプ)に比べ、消費電力は100分の1に抑えられる優れものだ。

「今後、ガス機器の利用を進めていく」と語る北谷さん。電力デマンドの抑制、長期化する節電への対応として、ガス機器の利用は有効な手段と言えよう。

共用部分の空調はGHP

共用部分の空調はGHP

快適な居住環境づくりに貢献するLPガス

多くの高齢者が生活するこの施設では、食事や入浴、冷暖房など快適な居住環境づくりへの配慮は欠かせないものとなっている。それを支えるエネルギーとして、LPガスが選ばれている。

敬英会施設に太陽光発電を導入

敬英会では環境への取り組みの一環として、太陽光発電の導入を進めている。平成17年に、大阪市つるまちの介護老人施設に太陽光発電導入、19年にも橋本市にあるパーシモン(小規模多機能型居宅介護事業所)に太陽光発電を導入した。

会社の概要

医療法人敬英会 介護老人保健施設 グリーンガーデン橋本
和歌山県橋本市隅田町山内1919
TEL. 0736-37-4165
URL http://keieikai.com