廃タイヤからLPガスへ 環境保全とコスト削減を達成

廃タイヤからLPガスへ 環境保全とコスト削減を達成

有限会社ライト・アップは2006年に小松島市において温浴施設である御寶言泉「おたかラッコの湯」を開業した。県内では珍しい泉質である低張性アルカリ性低温泉の源泉100%天然温泉が売りの温浴施設で、2014年に「憩い」「くつろぎ」「健康」をコンセプトにリニューアルオープンした施設内には、温泉浴場「東の湯」「西の湯」のほか、「岩盤浴」「あかすり」「整体」「ペットサロン」「食事処」なども併設している。年中無休のサービスや収容可能台数150台を誇る駐車場スペースは、地域住民のほか、つかの間の癒しを求めて訪れる旅行客などに広く親しまれている。

ボイラの不調、近隣住民等への配慮

御寶言泉「おたかラッコの湯」では設立当初より、中山社長の地域環境保全の思いから廃タイヤを燃料とした温水ボイラを導入していたが、稼働継続に際していくつか問題が生じていた。導入後6年目ごろから排煙のススによって循環ポンプ等の温水供給関連の機器に影響を及ぼすようになり、遠方のメンテナンス業者を頼る頻度が増しつつあった。近年では排煙もさらに濃くなっており、ろ過装置などの主たる設備にも影響が出始めていた。こういった事態から従業員への健康面への危惧、また近隣住民からのクレームなどもあり、今回のボイラ更新・燃料転換へと踏み切った。

様々なメリットからLPGを選択

ボイラの更新を考えるにあたっては重油燃料という選択肢もあったが、重油タンクでは年次点検が必要となることやメンテナンス面における負担、またCO2排出量等の環境への配慮を視野にいれるとススの出にくいLPガスの導入がベストだと判断した。

現行の電気式では大幅に電気容量が上がってしまい、工場の容量もほぼ限界の状況であったため、イニシャルコストは高額であったが空温式蒸発器を選択した。

これまでの懸案事項が解決できることに加え、LPガスへ燃料転換すれば補助金の交付も受けられる。2014年1月頃より検討を開始していたが、エネルギーマネジメント会社のアドバイスを受けつつ5月には補助金申請手続きを行うなど、導入へ向けて急ピッチで取り掛かった。

2.9tバルク貯槽を選択

検討を重ねた結果、日本サーモエナー製の真空式温水ボイラ2台に、2.9t LPガスバルク貯槽1基を設置した。貯蔵量が3トン未満であるため、法的には「特定高圧ガス消費施設」に該当せず、貯蔵所としての許可申請や届出、そして特定高圧ガス取扱主任者の選任・届出が不要になるなど法規制の少ない方法を選択した。バルク貯槽の設置に際しては隣接する駐車場内に一定のスペースを確保する必要に迫られたが、廃タイヤ及び運搬用フォークリフト置き場であった場所を有効活用することで対応した。

2.9t LPガスバルク貯槽

2.9t LPガスバルク貯槽

真空式温水ボイラ

真空式温水ボイラ

日常業務の負担軽減、コストに反映

LPGボイラを導入することによって単純な燃料費は上がったものの、稼働効率の上昇やメンテナンスに係る人件費及び維持に係るコスト(廃タイヤ燃焼後の産業廃棄物処理費用等)の削減に繋がったため、大幅なコストダウンが実現できた。また同施設では同じ時期に導入したヤンマー製のLPガスコージェネレーション(35kW×2基)で源泉の温度調節(全体の5分の1)を担っているため、相乗効果によって施設全体の省エネルギー効果は当初ボイラ更新のみで試算していた削減量から、さらに上回ることができた。

(1)CO2削減(年▲46.5%)
(2)ランニング費用の低減(年▲16.7%)※人件費のみ
(3)新ボイラ・コジェネ等新システム導入による原油換算省エネルギー率(年▲34.3%)

LPガスコージェネレーション

LPガスコージェネレーション

ボイラ制御盤

ボイラ制御盤

施設を支え続けるガスボイラ

「おたかラッコの湯」は繁忙期には来店者数が1日に800~1000名程度にもなるという。燃転後のLPG設備にはまだ余力があり、将来的に施設の拡張を検討することも可能だ。

「お風呂で温まり、心も温まるような心からのサービス」をモットーとし、日帰り行程の中でも充実した時間を過ごしていただきたいという中山社長以下従業員の方々の思いを、今もガスボイラは24時間稼働で支え続けている。

会社の概要

会社の概要

会社の概要

有限会社ライト・アップ(御寶言泉「おたかラッコの湯」)
徳島県小松島市立江町字黒岩13番地の1
代表取締役社長:中山 眞由美
従業員:約20名