長期的な視点でLPガス導入を決断

長期的な視点でLPガス導入を決断

レンゴー・ノンウーブン・プロダクツ(株)は包装製品製造を行うレンゴー(株)(本社:大阪市北区)の100%子会社で、不織布(ノンウーブン)生産事業を展開している。主に紙おむつや生理用品などの衛生用品向けサーマルボンド不織布を製造しており、現在では国内トップメーカーとなっている。

2012年8月、不織布製造のための熱媒還流ボイラー4台のうち3台のボイラーを灯油からLPガスへと燃料転換を行った。

サーマルボンド不織布製造ライン

サーマルボンド不織布製造ライン

数年前にLPガス利用を開始

レンゴー・ノンウーブン・プロダクツ(株)には、現在ボイラーは4台あり、そのうち3台が今回更新したものである。残り1台は2009年、新規に製造機を設置した際に導入したもので、燃料をLPガスとした。

それは、それまでの灯油ボイラーは地下埋設型燃料タンクが設置後20余年経っており、老朽化の影響による外部への漏れ等の心配が続いていたこと、また同社が改正省エネ法で第1種エネルギー管理指定工場に指定されており、年1%以上のCO2排出量削減の取り組みが求められていたからである。

製造部長の太田氏は「今後の製造燃料を考えた際、既に将来的にガス利用に移行していく構想があった。今思えば、他ボイラーも燃料転換の準備はできていた」と振り返る。

高効率ガスボイラで効果を試算

そのような折、ガス会社である岩谷産業(株)より三浦工業(株)製の高効率LPガスボイラー更新の提案を受け、灯油ガスボイラーよりも熱効率が約12%よいとの説明を受けた。2009年に導入したLPガスボイラーは、工場が24時間フル稼働の中、大きな不満もなかったことに加え、補助金制度の後押しもあり、灯油ボイラー3台を更新することを決断した。

関連して、LNGも検討したが、住宅地の近くに工場があるため、LNGの大型タンクが近隣住民に受け入れられない可能性があるとして、見合わせたという。

岩谷産業(株)から工事や補助金、法令基準等のアドバイスもあり、LPG供給設備は2.9t LPガスバルク貯槽×3基、300kg/h 消費型蒸発器(MIN-300EC)×2台を新設した。ボイラーは三浦工業製(KXI-80SVG)×2台、(KXI-40SVG)×1台を設置した。

2.9t LPGバルク貯槽×3基

2.9t LPGバルク貯槽×3基

300kg/h消費型蒸発器(MIN-300EC)×2台

300kg/h消費型蒸発器(MIN-300EC)×2台

三浦工業製熱媒還流ボイラー

三浦工業製熱媒還流ボイラー
(KXI-80SVG)×2台

三浦工業製熱媒還流ボイラー

三浦工業製熱媒還流ボイラー
(KXI-40SVG)×1台

期待どおりの省エネ・省コスト・省CO2を実現

今回のLPガスボイラー導入で前年比約11%の省エネルギーと約12%のコスト削減、工場全体では約8%のコスト削減ができた。また、導入前に比べ、約20%のCO2排出量が削減でき、ほぼ期待通りの省エネ・省コスト・省CO2を実現することができた。

他にも灯油燃料の場合、調達リードタイムが長いために自社による在庫管理と発注業務が必要だったが、燃転後は電話回線による自動受発注システムのため在庫管理と発注業務がなくなり、業務効率化につながったという。

灯油のときに必要であった乙種危険物取扱者は不要となり、高圧ガス取扱主任者を選任した。自主的な勉強会の開催や多くの従業員が高圧ガス取扱主任者の講習を受けにいく等、保安教育にも積極的に取り組んでいる。

今後もLPガスに期待

太田氏は、今後長期的な視点でエネルギー問題を考え、自動車をはじめとする脱石油社会が進む中、今後の石油燃料の供給インフラ弱体化を懸念したという。

「LPガスは一般家庭に普及しており、供給面においても不安要素はない。今後も期待するところが大きい」と話す。

太田俊明常務取締役 製造部長

太田俊明常務取締役 製造部長

会社の概要

レンゴー・ノンウーブン・プロダクツ株式会社
岡山県総社市窪木900-5
TEL:0866-93-9481
設立:昭和61年12月16日
資本金:315,000,000円
敷地面積:12,383m2